刺しゅうの知識
全ての刺しゅう機は、縫い上りを向上させるために、様々な資材が活用されています。
上糸と下糸が絡んでステッチが作られますので、バランスよく刺しゅうするためにも
製品にあった都合が良い資材を選ぶことが重要になります。
準備するもの
一般的に下記資材を準備しておく必要がありますのでご参考ください。
- 上糸・・
さまざまな配色が御用意されています。 - 下糸・・
俗にいうボビンの糸です。※ボビンに下糸を巻き付ける装置が必要になります。下糸巻装置の購入をご検討ください。 - 不織布(芯地、バイリン)・・
生地の下紙になります。こちらと一緒に縫うことによって生地を安定させています。 - スプレー油・・
ミシン油です。スプレータイプでないものが付属品としてご用意しています。メンテナンスには不可欠ですので、スプレー缶を持っておくと便利です。 - 試縫い用生地・・
注油した後、針棒や釜から沈着する可能性があるので、捨て生地で結構でよいので持っておくと便利です。
刺繍のコスト
実際に刺繍されるお客様の多くが生産性のコストでご相談いただくことがあります。下記リンクよりEXELシートをご参考ください。
糸の種類
刺繍機で活躍している糸は、主に、レーヨン、ポリエステル糸になります。
他の糸も念頭に入れて、これらの使い分けと、活用例を紹介します。
簡単に言ってしまうと、
ポリエステルの原料は、石油です。
レーヨンは、人工的に伸ばされた細くしなやかで凝集性のある紐状の素材、つまり原料は繊維となります。
更に言ってしまうと、これらをネジって作られたのが糸です。
単純に比較すると、強度は、ポリエステルのが強く、熱には、レーヨンが強いです。
糸の太さは、デニールという糸密度の単位を使用します。
使用するデニール(以下d)の目安として、120d(通常)、75d(細い)が、刺繍工場や、ネーム刺繍の多くにご利用いただいています。
参考:
70~100d:綿糸(70~80番手)
100~130d:綿糸(50~60番手)
サテン振りで、曲線など描くときは、細い糸を使用したほうがキレイに仕上がります。
しかしながら、針数も増えて、結果的に生産性が落ちる事もあるようです。
基準にあった糸を使用しましょう。
他には、綿や麻を使用した糸は、スパン糸と言います。デニムのステッチ等でも活躍しています。
針の種類
刺繍機における針の選択は下記のように覚えていればよいでしょう。(オルガン社針引用)
DBNY・・厚物
DBK5-Z1-NY・・帽子
DBK5-Z2-NY・・円筒枠
1KN-ニット針・・シャツなどの繊維に
1SF→ビニール、細い、素材が切れ難い細い針先
糸と針の関係
糸が太いと針穴に入らない事や、縫い上りに影響を与えてしまうことがあります。
以下を基準としていただき、針の太さ選びをしていただければ幸いです。
75d(針:8~10番手)
120d(針:9~11番手)
200d(針:11~14番手)
用語集(資材/部品関係)
釜
ボビンケースを格納する場所にあり、釜の剣先はタイミングよく上糸と下糸を絡ませます。
針が折れてしまった場合、釜に傷が入ってしまう事がありますので、縫い上りが安定しないときはチェックが必要です。
ボビン
ボビンの種類は、アルミボビン、スチール製、使い捨てのものがあります。
下糸が少なくなるにつれて、張力が強くなり、結果的に下糸も強くなります。
近年は、軽いアルミ製のものや、使い捨ての紙製のようなものの需要が高まっています。
ボビンケース
下糸の強さをこのケースで調整します。強さは、固定で20~25グラム(自重落下するかどうか)程度が縫い上がりの良いとされています。